真昼    丸山乃里子

少女は鞠つきをする
鞠がころがる
父の仕事部屋の窓の下
中をのぞくと
父は背をかがめて
ミシンを踏む
床一杯に広がる布
マネキンの 白い
手や足が
ころがっている
太陽をじっと見てから
目を戻す
部屋は赤く染まる



戻る