創刊のことば

久宗睦子

薫風とともに、一台の馬車が走り出す。御者は置かない。
したがって手綱も鞭もなく、各馬それぞれの目指しかたを大切に、限りない前進を始める。
ただ今、五頭。色も形態もさまざま。ただ詩への思いは熱く強いことだけが変わらない。
数回の会合では、みな悍馬となって作品の批評に時を忘れた。この駈けかたをいつまでもつづけたい。
うっすらと地平の見え始めているものも、まだ陽光の燦々と輝く下にいるものも、一斉に出発しよう。
良い詩誌だといわれるための勉強の旅へ!

春木節子

 私が詩に書きたいと思うことは、かすかだけれど忘れることのない、日常の生活でも何回も繰り返し思い出される、夢の残像のようなものです。
 意味があっても説明しきれなくて、理論づけたりできないものに、言葉を与えていくことにより、自分の意識の底に澱んでいる世界に風景を与えたい、という気持ちです。
詩を書くことによってその風景が逆に残照のようになって、自分の内面を照らしてくれれば嬉しいと思います。
勉強の場を与えていただき、感謝しております。


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